足底皮膚炎
Category:脱毛
2021年5月12日ウサギは犬・猫と違い足底に肉球がなく、その部位の皮膚は非常に薄いために、皮膚炎脱毛が多くみられます。
足底皮膚炎の症状は、基本的に褥瘡である人とウサギの皮膚構造は非常に似ており、ウサギの皮膚がヒトの褥瘡の研究に利用されています。
ウサギに足底皮膚炎が発生する際には、物理的・生体的・環境的要因がそれぞれ独立的、また複合的に関与します。
- 物理的要因:ケージ内の金属製の床材や、室内のフローリングなどの接触
- 体的要因:肥満や不活動/活動的な個体、また特定の種類(レッキス種など)
- 環境的要因:尿や便などによる床材の汚染
- ストレスなどによるスタンピング(とくに未去勢の雄)
治療
発生を予防するには、下記のような改善が必要となります。
- 未材を柔らかくし、後肢への荷重を軽滅する。また。ケージ内の寝床を厚くする。
- 体重のコントロールや運動を促す。
- 環境を清潔に保つ。
- 飼い主と相談し、去勢手術を考慮する。
- 二次的に細菌感染を併発している場合は、抗生物質などによる治療が必要となる。また、ティーツリーオイルを用いた感染防御や、包帯·医療用接着剤にて皮膚の保護を行う場合もあります。
私は、ダームワン(ビルバック社)を使用し比較的よい治療成績が得られています。
本製品はセラミドを配合しており、皮膚のバリア機能を保持することを目的としています。パット代用の足底被毛の発毛促進を期待し使用しています。
また、行動範囲を限定し、可能な限り(牧草などにて)床材を厚くするよう指導しています。
本疾患の完治は難しく、悪化を防ぐことが重要です。
そのことをしっかりと説明する必要があります。
悪化した際の予後
骨髄炎、健の損傷、膿場を呈した症例では、予後は骨への波及の程度と膿揚の拡大の程度とが関連します。
再発率は高く、激しい落痛がある症例では断脚や安楽死なども考慮する必要があります。
主な鑑別診断
- 腫瘍
- 膿瘍
- 肉芽腫
- 骨折
- 肥満など