食物繊維の働きと便の関係
Category:ウサギの下痢
2021年10月23日1. 便相
適正な後腸発酵と胃腸運動のためには大量の粗飼料(主に乾燥牧草)が必要です。
粗織維量が不十分な食餌は盲腸の運動低下を招きます。
胃や腸の消化酵素で分解されなかった食物繊維は後腸に送られます。
近位結腸で大きな繊維粒子と小さな繊維粒子に分別され、大型の繊維粒子は硬便として排泄されます。
小型の繊維粒 子は盲腸に送られ発酵により揮発性脂肪酸が産生されたものが盲腸便になります。正常消化の状態は、硬便の相にあるか軟便の相にあるかによって、便相が異なります。
2. 繊維
小型の繊維は消化性繊維、大型の機維は不消化性繊維ともいわれ、それぞれの役割は消化器疾患を理解するうえで重要な概念です。
繊維は植物細胞壁で構成され、セルロース、ヘミセルロース、リグニンなどが含まれます。
ヘミセルロースとセルロースで構成される消化性の小型繊維は官腸に送られ、細菌義の培地として利用されますが、リグニンで構成された不消化性の大型繊維は育腸に送られることはありません。(小さく分解して盲腸に送られても消化されない)。
これらに栄養価はないが胃腸の運動を促進させます。
よって、不消化性の大型繊維が不十分な食餌では盲・結腸の運動性の低下を招き、運動性の変化に伴い二次的に吸収力が低下するため硬便の下痢や盲腸便の下痢が起こります。
一方、消化性の小型繊維が不十分な食餌では、細菌裁の培地の供給低下による腸内細菌義の変化により、盲腸便の下痢、硬便の下痢が引き起こされます。
つまり、食餌に関してはどちらが不十分なのかという視点で「下痢」を考える必要があります。
ポイント
小型の繊維、消化性繊維、発酵性繊維、大きくとらえるとだいたい同じもので、言い方が変わっているだけです。