うさぎの飼い方・しつけ方
飼育環境について
うさぎは犬猫と異なり、ケージ内で飼育されることをまず念頭に置き、飼育場所が屋内か屋外か、また自由行動できる範囲時間を考えましょう。
うさぎは暑さや湿気に弱い動物です。うさぎが快適に過ごすための環境づくりのヒントにして下さい。
室内で飼う場合
室内(制限有り)
室内の一定空間をうさぎのために整えるのが、理想的な環境です。
ケージのみではなく、室内の一定空間をうさぎのために整えるというのは、管理面からも理想的な環境といえます。床は、コルクマットなど弾力のあるやわらかい素材とし、牧草を敷き詰めるのもいいでしょう。物陰に隠れることができるような場所も必要です。
室内(制限なし)
自由な反面、様々な病気やケガの原因にもなります。
犬猫のように室内で自由行動できるのは、一見理想的な環境に思われますが、実際にはフローリングの硬い床のせいで、足底潰瘍を起こしたり、誤食、ヤケド、コードを噛んで感電するなど問題点も多くみられます。
室外で飼う場合
室外(ケージ内)
多頭飼育の場合、個々の管理が困難なので、注意が必要です。
学校施設にあるうさぎ小屋などは、通常多頭飼育で自然繁殖の形態をとっていますので、ホルモン異常はあまり観察されませんが、個々の管理が困難で、栄養不良からくる皮膚疾患や気温の変化による体力の低下、様々な食事を与えられる事から胃腸障害が多く、うさぎ同士の闘争による咬傷や骨折などもよくみられます。
室外(土の上)
うさぎ本来の姿ですが、園芸植物など注意が必要です。
庭の土の上を走り回れる環境は、うさぎ本来の姿といえるかもしれません。しかしもともと粗食に耐えうる体ですので、豊富な野草を食べる事による軟便や鼓張といった胃腸疾患の割合は高いように思われます。
やわらかい土の上は足の皮膚にとっては理想的で、耳道内の汚れや、皮膚の疾患はあまり見られません。小型のうさぎでは猫やカラスに襲われるケースもあり、園芸植物による中毒の可能性もありますので十分な注意が必要です。
うさぎと一緒に生活する上での注意点
かじる行為に注意
特に飼い主さんに気を付けていただきたい事は、うさぎのかじる行為です。かじる行為自体はうさぎの本能ですから、止めさせる事は出来ません。
したがって、うさぎがかじると危険な物を防ぐ事は飼い主さんの役目です。
家電製品の電気コード
火災の原因になるほか、感電症をおこし死に至ることもあります。電気コードカバーなどでカバーしておくか、家具の背面などに回しておきます。
小物など
テーブルの上や、床などに置きっぱなしにしない。特にタバコなどは大変危険です。
ひも、輪ゴムなどの長いもの
長いひも状のものは体内に入ると、吐き出す事も排泄する事も出来ず大変危険です。
うさぎは骨の弱い動物です
うさぎは意外と骨の弱い生き物です。飼い主さんがだっこしている時に飛び下りたり、ドアに挟まれたりなどで骨折しているケースがよくあります。
だっこしている時やドアの開閉時には注意するなど、常に気をつける必要があります。
しつけについて
正しくしつけることで、トイレを覚えたり、咬まないおりこうなうさぎに育てることが出来ます。
ここでは、正しいうさぎのしつけ方をご紹介します。
犬・ネコほどではありませんが、うさぎもある程度のしつけをすることができます。
飼い始めてからの一週間
うさぎを飼い始めての1週間は余計なストレスを与えないようにするためしつけは行いません。
もちろんその期間は叱ったり遊んだりも控えた方が良いでしょう。
1週間もすぎると、ある程度落ち着いてきますので、ちょっとずつ優しくしつけましょう。
褒め方
いいこいいこで、ご褒美を。
成功した時や、おりこうな事をした時には優しい言葉(いいこ、いいこ)をかけ、ご褒美としておやつを1つ与えて誉めましょう。
※クッキーや乾燥果物より、生野菜を細かくした物を与えることをおすすめします。またおやつはご褒美として与えますのでおかわりは禁物です。
叱り方
叩くのは厳禁。音を鳴らして叱りましょう。
いたずらをしたらきちんと叱る必要があります。叱る際には、手や足もしくは新聞を丸めた物で床を叩き音を鳴らします。
これはうさぎが警戒時に後ろ足を地面 に叩き付けるスタンピングという行為に似た音を鳴らすためです。決して叩いて叱る事はいけません。ただ怖がるだけになります。
トイレを教える
うさぎの糞尿をトイレに臭い付けとして少量置いておきましょう。
うさぎは決まった場所で排泄する習慣があるため、トイレのしつけは比較的容易です。自分の身が安全な場所で排泄しようとしますので、その習性を利用してトイレを壁際のケージの隅に置けば大抵はしてくれます。
しない場合は、いつもうさぎが排泄する場所にトイレを移動することや、うさぎの糞尿をトイレに臭い付けとして少量置いておくなどの工夫が必要です。
噛み癖
咬む事で自分の主張が通ると覚えこませない事が大切。
咬む事で自分の主張が通る(だっこしている時に放して欲しいなど)と覚えこませない事が大切です。咬まれても知らんぷりをする、上記の叱り方で悪い事だと 覚えさせることが大事です。
しかし、うさぎは攻撃的な動物ではないので個体差はありますが、咬む時はよほど嫌な事があるからだと考えた方が良いかもしれません。
うさぎの噛む特殊な例
- 無理矢理だっこする
- 耐えれない程の嫌な扱いをされた
- 急に顔の前に手を出すなどでびっくりした時
- 極限状態までストレスがたまっている時
ふれあい方
抱っこの仕方
うさぎは基本的に抱っこされることを好みません。しかし、抱っこさせてくれない子に育つと健康チェックや投薬など必要な世話が出来ない事にもなります。抱き方を正しく行い、抱っこ好きな子に育てましょう。
うさぎにストレスを与えない接し方や、抱っこ好きな子になるための正しい抱き方など、ここでは、正しいうさぎとの触れ合い方をご紹介します。
うさぎはとてもデリケートな動物です。正しい扱い方を身につけましょう。
うさぎの耳は決して持たないでください!
耳は毛細血管が広がる繊細な場所です。決して持たないようにしましょう
胸の下に手を入れ、お尻をすくい上げるように持ち上げます。
暴れる場合は首すじの皮膚をつかみ、お尻に手を添えて体を丸めて持ち上げます(皮膚はたっぷりつかめば痛がりません)。
高い位置で抱っこをすると暴れた際に落とす事もありますので、抱っこの練習は正座をして落ちないようにします。
お腹に密着させて安心させる抱っこです。
狭い所に頭を突っ込む習性を利用して、ひじの部分で頭を覆うようにして抱っこすると安心します。
仰向けにする方法です。両脇の皮膚を持って、そのまま持ち上げたままひざの上で仰向けにします。すぐには手を放さずしばらく皮膚をにぎっておきます。
ブラッシング
小さめのブラシか手袋型のブラシがおすすめです。
毛球症や皮膚病の原因にもなりますので、ブラッシングをさせてくれる子に育てましょう。背中は撫でられるのが好きなため比較的容易に行えます。ただし、大きなブラシですと怖がる子もいますので、小さめのブラシか手袋型のブラシを使うと良いです。ブラッシング嫌いな子は逃げ出そうとします。暴れたら逃げれると覚えてしまわないようにしっかり抑えておきます。
また針金のような素材のブラシは皮膚を傷つけてしまうことがあるので避けたほうがよいでしょう。
シャンプー
シャンプーはうさぎにとって、ストレスになることもあります。
シャンプーを検討されている場合は病院にご相談ください。
うさぎのシャンプーも種類が豊富にありますが、皮膚が弱いので動物病院などで指定されたシャンプーをお使いになる事をお勧めします。
ただし、シャンプーを行う事自体がうさぎにとって大きなストレスとなり、体調をくずすきっかけとなることもあるので、安易にシャンプーを行うことはお勧めできません。シャンプーを考えている場合は、まず病院にご相談ください。
よくあるご質問
- うさぎの平均寿命は何歳?
- 書籍などで、4~10歳とどれも大きく幅を持たせてありますが、実際の寿命といえるのは今の現状ではおそらく6~7歳です。犬猫と異なり、予防医学的な来院がほとんどないため、来院するうさぎの年齢から寿命を推測することは困難ですが、臨床の現場における印象からすると、飼育失宜などで来院する5~6歳で命を落とすものが多いのが現状です。
しかし、適切な飼育指導を行うことによってこれから先、うさぎの寿命はさらに延長しうるものと思われます。
当院においても、10歳以上のうさぎが増えてきており、13歳で元気なうさぎもいますし、ギネスの記録には17歳というものもあるそうです。 - 生活上、うさぎをひとりにする時間があるのですが、大丈夫?
- 被捕食者であるうさぎにとって、一人でいる時間とは休息をとるための重要な時間です。
だから、飼い主が仕事や買い物で家を空ける時間が、うさぎが一人で過ごすことのできる時間となり、こういった時間に、盲腸便を食糞することによって栄養のサイクルを完全なものとします。 - 他の動物と同居は可能は?
- 同居の動物は、体格に差がありすぎるとストレスになるかもしれませんが犬猫といった捕食者側の動物であっても、兄弟のようにうまくいくケースもあります。
また同じうさぎであっても、うまくいくとは限りません。